山浦さんとの記憶は沢山あるが、思い出すのは何故か、一つの大したことのない記憶だ。当時、山浦さんは千葉のサーフィンのメッカ一宮ポイントの目の前の竜宮城のような古民家MUNE HOUSEに住んでいて、自分はそこにたまにステイさせてもらっていた。お互い若く人生の旅路の中で選択をしていた時期で、そのステイ中のある夜、スーパー銭湯太陽の里に行こうと提案された。一宮の干物の香りがただよい、UFOが飛んできそうなだだっ広い平野の景色を見ながら、一松まで車でひとっ走り。塩サウナや各種一通り風呂に入りサーフィンでバキバキになった体癒す。一段落すると家から数キロの距離なのに、仮眠室で寝ていくと言い出した。自分は落ち着いて温かい布団で寝たいと思ったが、エコノミーのリクライニング程度の所で、何故か寝ていくと言う。反対しても聞き入れてくれなさそうだったので、「そうですか」と渋々同意し一瞬にして爆睡。
何時間寝たのだろうか、真夜中にふと目覚がさめた。そして霊安室みたいな仮眠室を見渡すと、突然不安な気持ちが襲ってきた。一体自分はここで何をしてるのだ。まるで世界に取り残され、地球の底にいる気分だ。
この気分は今までもあり、例えば永遠に夜が続く数人しか乗客がいないガラガラのフライト等で、何度か経験した事がある。不安ではあるが、クリアで無に近い感覚だ。そんな気持ちで微睡いでいると、驚いたことに近くで寝ていた山浦さんがいないのだ。さらに不安な気持ちがMAXになる。自由な山浦さんだったら、気が変わり帰宅する事も十分にありえる。ここから歩いて帰れない距離ではないが…と途方に暮れていると、後ろから「のぼるくん」と呼ぶ声がした。いつの間にか一番後ろの列に移動していたようだ。「そろそろ帰ろうか」夜明け前という、さっぱりよく分からない時間に、MUNE HOUSEに帰宅し床についたのである。
人間の記憶は何故これを選択するのか、と思うような出来事が強く記憶に残っていることがある。
Date Posted 10/24/2020
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